山本義人指揮 世界合唱フェスティバル ザルツブルク&ウィーン

遠藤個人ブログ「ひろいあつめたはなびら」より

 

 

6月19日から26日まで、ザルツブルクとウィーンで開催された「世界合唱フェスティバル World Choral Festival in Salzburg and Vienna」の添乗に行ってきました。

山本義人先生を指揮者に、8ヶ月もの間、自主的な練習を含め、合唱練習を重ねてきた成果を表現するのは、ザルツブルクはモーツァルテウムとウィーンはムジークフェライン(楽友協会ホール)という、至高の音響を誇る素晴らしいコンサートホールです。

8ヶ月もあれば、歌の調子が良い時も、どうやってもうまくいかない時もあったりするわけで、合唱団の方々は、悩んだり、辞めてしまおうと思ったりしながら、なんとかなんとかがんばって、最後まで続けてきていただいたわけです。
それだけ練習を重ねても、日本を出発する時は「本当にうまく歌えるのだろうか?」という不安を胸に抱えた状態…
それは、合唱団の方々も指揮の山本先生も、私たち裏方も同じ気持ちでした。

でも、練習の成果が上がるのを、出発日は待ってくれません。


さて、そんなこんなで一同は、最初の演奏会場のあるザルツブルクへ。

と、その前に、私たちはザルツカンマーグートの「モントゼー」の湖を見下ろすホテルに1泊。ザルツブルクのホテルが混雑していたおかげなのですが、

朝一番、部屋からの湖の眺めは最高!!!
朝食もそんな湖と山のコントラストを眺めながら食べると、何もかも忘れて、思いっきり観光気分に浸れます。


到着から3日目に最初のガラ・コンサート。
リハーサルでは、参加する全合唱団で歌う合同曲「Locus Iste(ブルックナー」「This World(トラック)」「Gloria(ハイドン)」を、あのウィーン少年合唱団ブルックナー・クラスの監督、シェベスタさんが指導。
その熱のこもっていること!!!
クールで優しそうな雰囲気なのに、やはり指導にはすごい熱が入ります。



本番は、なかなかの歌声で終えることが出来ました。
手前味噌かもしれませんが、観客の反応は一番よかったと思います。
皆さん、がんばったもんなぁ~と、とりあえずは一安心。

でも、すぐにウィーンでの演奏会がありますから、ゆっくりもしてられません。



ウィーンについて、ムジークフェラインでのリハーサル。
モーツァルテウムも素晴らしいホールですが、やはりムジークフェラインはムジークフェラインです。ホールの放つ雰囲気は、他のどことも一線を画すもの。
初めて「黄金の間」を目の前にした合唱団の方々は、はやる気持ちと緊張感が一挙に高まります。

最終調整といった感じで、短めにゲネプロを終え、楽屋でちょっと一休み。

そこから私は指揮者の山本先生についていたわけですが、

最初の合同曲(指揮:Martin Schebesta)の時も、楽屋から出てきて合唱団の皆さんに声を掛けないし、「あれ?」と思ってましたが、結局、その後、中国の演奏が終わり、日本の合唱団がステージに入る頃、やっと楽屋を出陣し、合唱団の皆さんと舞台裏で言葉を交わすことなく、そのままステージへ。


そして、本番は見事!の一言!
本当の最高の演奏が出来ました。
私は舞台袖で小窓からじっと見ることしか出来ませんでしたから、歌声の出来具合は聞き取れませんが、1曲終わる度の観客の拍手が、その評価をまっすぐに伝えてくれました。


そして、最後の曲が終わった時の、その拍手の大きさ!
飛び交うBravoの声!!!

胸が熱くなりました。
気持ちがこみ上げてきました。

袖に戻ってこられた山本先生と固い固い握手。

そして、退場する合唱団の皆さんが向かう楽屋へ。
すでにうれしくて泣いている人もかなり。

全員が戻ったところで、山本先生から皆さんへのお礼の言葉。
「出演前に皆さんに声を掛けようかと思ったけど、皆さんを信じて、あえて顔をみせませんでした・・・ 皆さんを信じてよかった・・・・・・・・・」
そこまで言って、言葉がつまり目頭を押さえる先生・・・

合唱の皆さん全員が涙し、現地のガイドさんも涙し、先生の背中に隠れてわたしも(^^;

ほんとにこの仕事の素晴らしさを改めて知った瞬間です。
音楽の素晴らしさ、合唱の素晴らしさ、共同して悩みを超えることの素晴らしさを、1年ぶりの添乗で再確認できました。

ガラ・コンサートの最後のカーテンコールでは、観客総立ちのスタンディング・オヴェイションのおまけつき!

東京フラウエン・フロイデン・コーアは、立派に日本代表の役目を果たしました。


ツアー最後の打上げパーティでは、山本先生自ら、参加者全員にプレゼント。
練習の出席をがんばった人に特別賞をあげたり、合唱団の中でも裏方も手伝ってくれた方々、日本語の曲をドイツ語に訳してくれたバリトン歌手の奥村泰憲さんと奥さんにも、いろいろと趣向を凝らしたプレゼントで、山本先生が、この企画にかかわった全ての人たちに心から感謝されているというのが、よーく伝わる一幕でした。


確かに、ザルツブルクとウィーンの最高のホールを使って、ウィーン少年合唱団と共演するという、企画は本当にすごいものなのですが、その企画をここまで感動の渦に巻き込んだのは、山本先生の気遣いであり、音楽的に支えたピアニストの前田先生であり、ボイトレの安藤先生であり、厳しい?練習に一生懸命ついてきた合唱団の皆さんなのです。

合唱は歌声を一つにして、きれいな音楽を奏でるもの。
みんなの心を一つに出来れば、この世で一番美しい瞬間を手に出来るんですね。

私からも関係者全員に、心から感謝申し上げます。
ありがとうございました。

また皆さんに合唱練習の場でお会いできることを楽しみにしています。